2023

おひとりさまインスタンスでなんとかしたい

おい、2022年は一日も日記書いていないぞ。

Twitterで時折ツイートしているから生存確認できているだろうと油断していた。インターネット、とりわけSNSは不思議なもので、自宅に引きこもっているだけの零細フリーランスなのに社会に繋がっているような錯覚を与える。他人の書き込みを眺めていいねボタンを押すだけで、なにか社会の裾のところにしがみついているような感覚。ところが、昨年後半からそのTwitterの運営が迷走しだした。

考えてみれば、落書きのようなメモ書きとはいえ、一応は自分の著作物である。SNSというプラットフォームは商品を並べたり配送を依頼する場所であって、工場を貸してもらっているわけではない。ちゃんと自分のドメインで製造して管理して、並べたり配送したりするところから他者にお願いするのが「筋」なのではないか。

そこでMastodonなどでお馴染みの、ActivityPubに対応したインスタンス(サーバー)を立ち上げることにした。自分の発言を自分のドメインに置くための、いわゆる「おひとりさまインスタンス」である。

Google Cloud Platform (GCP) の無料枠でe2-microというスペックのVMインスタンス(簡単にいうとレンタルサーバー)を一つもらえる。これでPleromaという実装(ActivityPubに対応したソフトウェア)を使ってインスタンスを立ち上げた(https://social.a3size.com/@king_nomura)。これからはこちらを「自分が発言するときの」メインのSNSに出来ないかな、と考えている。PleromaはMastodonよりも軽量らしく、またビューワーとしてこのインスタンスを利用しているのは自分ひとりしかいないので、それほどの負荷にはならなそうだ。また、将来もしも別の実装に取り替えたくなっても、まあデータのインポートエクスポートでなんとかなるんじゃないかなぁ、と楽観的に考えている。

将来的にThreadsもActivityPubに対応することが発表されているので、そうなればThreads上のユーザーをフォローしやすくなるし、自分のアドレス( @king_nomura@social.a3size.com )も伝えやすくなるだろう。相手がどこのサービスのインスタンスに所属しているかをいちいち気にしないで良い、というのがスマートで美しい。自分のアドレスが自分のドメインなのも、「ちゃんとしている」感じが嬉しい。

なので、SNSならなんでもいいという人はとりあえずThreadsにしたらいいんじゃないかな、などと考えている2023年なのでありました。


2021

2006年に買ったマウスを静音マウスにする

普段、Macではトラックパッド(Magic Trackpad 2)を、主にゲーム(とかブラウザ確認とか)に使っているWindowsマシンではマウスを使っている。このWindowsのマウスは、LogitechのMX Revolutionで、2006年に買ったものだ1。しばらくWindows機を立ち上げていなかったのでブランクはありつつも、もう15年も使ってきたマウスだ。

Magic Trackpad 2のクリック音は「コツッ」という少しくぐもった音色で(わざとそういう音を鳴らしているところが凄い)、MX Revolutionのクリック音は「カチッ」といういかにもなマイクロスイッチの音色だ。この、「カチッ」という音は、いろんな音がなっている中でなら気にならないが、比較的高い音でキンキン鳴るように聞こえて、ちょっと「カチカチカチカチ」と連打するとあまり気分が良い音とは思えなくなってきた。そこで、思い切ってスイッチを換装することにした。 こちらがスイッチ換装作業の様子。元々ついていたスイッチを外して、新しいスイッチをつけたところだ。

MX Revolutionのスイッチを換装した

静音マウス改造は実に様々な方がチャレンジされていて、その多くの方が静音スイッチの部品として「Kailh ミュートマイクロスイッチ」などの名前で検索すると出てくる6mm × 6mm × 7.3mmのマイクロスイッチを使用している。なるほど、これをMX Revolutionに乗せてしまえばいいのだな?とやや乱暴に思いついて、それを実行した。写真を見て貰えばわかるが、左下側に転がっているのがもともとついていた3本足の長方形スイッチで、付け替えた静音タイプのスイッチは正方形。うっかりするとクリックする部分がうまく噛み合わなくて押せなくなってしまうのだが、あまり深く考えずに実行してしまった。

ちなみに、このKailhのマイクロスイッチ、Amazonなどでも買えるのだがmercariで出品されているものを購入すると1個あたり100円未満で買えるというので、初めてmercariを使った。次に使うのは何年後になるだろうか。

実際の換装作業だが、知識のある方なら写真から想像つくと思うが、元々あったスイッチを取るためにハンダを吸い取るのに大変手間取ってしまった。吸い取り器じゃなくて吸い取り線で頑張ったんだぜ、これ。その結果、基盤パターンがもげてしまったので仕方なくリード線で配線を繋ぎ直した(マウス左ボタンの付近の黄色いリード線がそれ)。この場所以外にも、写真には写っていないが「マウスを持ったとき手前にくる側」にも基盤と部品がハンダ付けされている部分があり、そもそも先にそこを外さないとこのスイッチ換装の作業自体ができない構造になっているが、これもなかなか取れなかった。体感では、全体の作業の合わせておよそ2/3くらいをハンダを取るのに費やした気がする。

スイッチ換装のついでに、バッテリーも交換した。写真からわかるだろうか、すでにこのバッテリー、真ん中が大きく膨らんでしまっていたのだ。15年前のマウスなので純正パーツはもう手に入らないだろう、ということで互換バッテリー台湾から送ってもらい、つい先ほど載せ替えた。

作業終了後、まだ長時間使ってみてはいないが、今のところ順調に動いている模様。クリック音は「トン」というか「ト」というくらいの本当に静かな音に変わってくれたので、このまましばらく使ってみて動作に支障が出ないようならば、この換装は成功だったといえるだろう。


2020

Bluetoothヘッドセットとの戦い

ふと、PCでオンライン会議をするのにちょうどいいマイクとヘッドホンが欲しくなって、こういう投資は惜しんではならないとおばあちゃんの知恵袋に書いてあるので、買った。

マイクはマランツのMPM2000UというUSB接続のコンデンサマイクにすることにした。これをできればアームスタンドに取り付けたかったが、生憎デスク周りの構造上アームを付けられる場所がなかったので、卓上スタンドで使っている。会議の度に手前に持ってきたり奥にしまったりするのが若干煩わしいが、この煩わしさがオンライン会議をやるぞ!という気持ちのスイッチにもなっている部分も若干ある。

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最初は有線のマイクではなく、無線のヘッドセットを導入して完全ハンズフリーな会議環境にしたいと思った。だが、それは諦めて有線のマイクを買うことにした。その経緯についてここにメモしておきたい。

無線のヘッドセットを使えば、会議中にふらふらとPCの前を離れてもちゃんと会議の音声は聞こえるしこちらの声も届く。なんと夢のような。そう思ってBluetoothのヘッドセットを探した。

最近のイヤホンはカナル型のものが全盛だ。オープンイヤー型は音が漏れるので非常に嫌がられる。だが、野村にとってはカナル型イヤホンは、装着した時の遺物感と「周りの音が聞こえづらくなる」ところがとても辛い。なので、SONYのSBH82Dを買った。特殊な形状のイヤホンなので、これを選んだということは相当に悩んで選んだなと察していただきたく。

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で、早速使ってみたところ、確かに無線のヘッドセットとして機能した。音はちゃんと聞こえるし、マイクの一は肩甲骨あたりに来ることになって話しやすい。だが、嬉々としてオンライン会議の本番に投入しようとすると、そのタイミングに限ってイヤホンのBluetoothが切断されるという現象が発生した。何度か試すうち、このBluetooth接続が切れてしまう現象はイヤホンとマイクを同時に使用すると発生することがわかった。PCの音楽を聴いたりYouTubeを見たりしているときには全然切断されないが、オンライン会議のようにマイク機能を併用するときに非常に切れやすくなるのだ。

出力にSBH82D、入力にUSB MICROPHONE(MPM2000U)を指定

で、まず上記の有線マイクを買ってみた。そして、イヤホンにSBH82D、マイクにMPM2000Uを指定してみると、予想通りイヤホンが切断される現象は起きなくなった。なんだよ、SBH82Dはヘッドセットとしては使えないのか?……もう少し実験してみよう。

MacBookProのBluetoothのハードウェアまたはドライバに問題があるのかも、と思い試しにAppleのAirPodsを買ってみた。試しに買うっていう金額じゃねーが。

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さすがはApple、接続トラブルもなくすんなりと音が出た。ではマイクはどうか。……繋がる!ちゃんと繋がる!……だが、どういうわけか、圧倒的に音質が悪くなる。なぜだろう、と思いネットで調べてみると、「コーデックが切り替わる」という記述を発見する。

これ、AirPodsだけではなくSBH82Dのほうでも再現できるのだが、Bluetoothデバイス1つでイヤホンとマイクを同時に使うと、SCOコーデックになることが原因であった。

イヤホンとマイクを使用するときはSCOコーデックになっている

調べてみると、これはBluetoothのHFP(Hands-Free Profile)という仕様に基づいていることがわかった(参考: https://news.mynavi.jp/article/osxhack-264/ )。その名前から、携帯電話のハンズフリー用ヘッドセットで使う想定の規格なのだと推測される。つまりMacはヘッドセットを使う時にBluetooth機器との接続するときにプロトコルはHFPを要求する。

一方、SBH82Dをイヤホンとして使っている時、Bluetoothオーディオ機器の標準的な接続プロトコルであるA2DP(Advanced Audio Distribution Profile)でMacと接続している。それが、マイクを有効化するとA2DPからHFPに切り替わる。このことから、SBH82DはA2DPからHFPプロトコルを上手に切り替えれずに接続が切れる、またはそもそもHFPが苦手なのではないかと想像した。

Bluetoothの仕様は https://www.bluetooth.com/specifications/profiles-overview/ にある。英語を読み解く元気がないので斜め読みだが、このHFPにおける音声コーデック、SCOコーデック(内部的にはmodified version of the SBC codec)はモノラル/サンプルレート16kHzだと書いてある。モノラル!しかも16kHz!確かに携帯電話ハンズフリー級の音質で、そりゃいくらなんでも音が悪い。どれだけ便利だろうともHFPは使いたくない、無線ヘッドセットは諦めざるを得ない。

従って、イヤホンは無線、マイクは有線。これならイヤホンはSCOと比べて高音質なA2DPのままで、まあそこそこちゃんとしたマイクもあるので、そこそこ良いオンライン会議環境なのではないかと思う。

ところで、SBH82Dは音声コーデックAACが使えるのだが、これはiOSのみ対応とのこと。試してみるとやはりMacOSからはAACでは繋がらない。この間発表されたM1チップのMacならどうにかすると繋がるのだろうか、テストできる環境がないのでそれはわからない。

なので、せめて、A2DPの中でも最強セッティングで動作するようにチューニングはしておきたい。

具体的には、Apple Developerという公式の開発者サイトからBluetooth Explorerをダウンロードして設定をごにょるわけだが、上記のBluetooth仕様を読んで理解して……というのがとても大変なので、ググってみる。すると結論としてみんな「bitpool=53」にしていた、という事実だけはここに残しておく。bitpoolが53だとサンプルレート44.1KHzでビットレート328kb/s、51だとサンプルレート48kHzでビットレート345kb/sなので、48kHzで環境を揃えられるなら51の方が良いように思うんだが。

bitpoolを53にした場合

bitpoolを51にした場合


レンタルサーバを使うのをやめた

2018年の日記では、この日記サイトは BitBucket → Wercher → GitHub Pages という流れで公開されていると書いた。

素敵な自動化をしたはずなのに、そのあとは6本しか日記を更新しておらず全然その恩恵を生かすことはできなかった。まあ、自動化という「手段を整えることが目的」だからね。買い物でも、お金を払う瞬間がもっともアガった、なんてことは良くあることで。で、月末と年末で支払い関係やデスクトップ周りの見直しをしていた勢いで、2006年からずっと惰性で使い続けていたさくらのレンタルサーバーを次回は契約更新しないことにした。不満があるわけでもないが、レンタルサーバを借りてWebとメールを管理する、というスタイルに時代遅れ感もあったので。

この日記サイトとは別に用意していたWebサイト(www.a3size.com)はNetlifyに置くことにした。無料で静的Webサイトをホスティングしてくれる。しかもGitHubと連携できるし、CIも回せるらしい。とりあえずはGitHubと連携させて、FTPアップロードなる古の儀式を廃止した。これでhttpdサーバが不要になったので、レンタルサーバはいつでも解約できる。

ドメインはGoogle Domainsに移管した。すでに独自ドメインでGmailを利用しているので、集約先としてちょうどよかった。今後何かサーバリソースが必要になったら、まずはGCP(Google Cloud Platform)を候補にしようかと思っている。

ついでなのでこの日記サイトも、上記で書いたような3社のサービスを連携させるではなく、GitHub → GitHub Actions → GitHub Pagesという風に、GitHubだけで完結するように変更した。ワークフローはこちらのサイトを参考にさせてもらった( https://knsh14.github.io/posts/how-to-automate-deploying-hugo/ )。

今回はとりあえず環境の変化だけのメモ書きだが、慣れない状況で全力でグーパンチ振り回していたら一年が終わろうとしていて、色々書き留めておかないとなぁ、と思っている。しわすー。


2019年の映画の話

去年の秋あたりから「期間が読めない」類の案件をいくつか参加させていただいた(今も)。面白い案件だし参加させていただける嬉しさがある一方で、スケジュールが組みづらく、他の案件をお断りすることになってしまうのは若干辛い。

そして、ゲームが積まれていく。……違う、ゲームの話じゃない。映画だ映画。1月になって第1話ラッシュで。……違う、TVアニメの話でもない。

というわけで、2019年分の映画はこちら:もう一度観たい映画2019

いつも鑑賞直後に星をつけているのだが、年の途中で自分の中での評価基準を変えた。それまで低め低めに星をつけていたが、このままだとどんな作品でも星5つにならないことに気づいたので、もっと気軽に星4つ以上をつけることにした。なので、年間通してみると「鑑賞直後の評価」にはばらつきが出てしまったのはご勘弁を。

いくつかの作品についてコメントすると。

「アベンジャーズ/エンドゲーム」はもう一度観たいが、一体どこから遡って観るんだろうか。「アイアンマン」からなのかな。シリーズを畳むといえば「スターウォーズ」もあるのだが(「スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け」は年明けに観たので、2020年分にカウント)、先に畳み方を観てしまったからか「アベンジャーズ(MCU)」のほうが好きな終わり方かな。

「ジョーカー」は映画全体がある種の胡散臭さをまとっていて、雰囲気だけでご飯が何杯か食べられそうで素敵。ジョーカーは「かわいそう」であると同時に「状況を変える元気がない」人で、一昔前ならばこの人は努力が足りないから状況を打破できないんだ、と云われたことだろう。この負のスパイラルが社会の問題として認知されている今だからこそ、心に響くのではないか。もともとのジョーカーというキャラクターにそういう背景はなかっただろうから、ある意味でこれは壮大な二次創作なんだろうなぁ。ちなみにハーレイ・クィーン関連作品は未見。劇場でスーパーマン鑑賞中に壮大に寝てしまって、そのせいでDC関連作品(DCEU)になんとなく負い目を感じてしまっているのだ。どうしようかなぁ……。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は人にオススメできるタランティーノ作品という点で良かった。映画のスタイル(作風)と話そのものの相性が良くて、もしもこの企画が先にあって監督誰にするよ?という会議があったとしても真っ先にタランティーノの名前が挙がっただろう、と思う。あと、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットがてぇてぇ。ディカプリオがダメな人間演じると名作。

「ホイットニー~オールウェイズ・ラヴ・ユー~」をもう一度観たくなるのは何故なのだろうか。ホイットニーが活躍していた頃をギリギリ知っている世代として、どうしても思い入れてしまう。

「運び屋」というコミカルな作品をみんな観てくれ。予告編からは想像できないだろうが、これは笑えて、泣けるダメ人間物語なんだ。想像なんだが、クリント・イーストウッドはじいさんが若者にいいこと言うふりして説教するのが本質的には嫌いなんじゃなかろうか。出会った若者たちに対して割とフラットな感情でぶつかっているように思う。もちろん経験から来る言葉の重みみたいなものはあるのだが、説教とはちょっと違って、単に「オレはこう思うぜ」という世間話をしているだけなんじゃないかな。同じテーマを日本で映画化したら、じいさんが仙人か宗教関係者みたいな感じになっちゃうかも。

観ていない作品について軽く触れると、「ジョン・ウィック:パラベラム」「ゾンビランド:ダブルタップ」はタイミングが合わなかった。

「アイリッシュマン」もタイミングが合わなかった上に、これ3時間超えなんだよね。Netflixはまだ契約していない。今の生活状態で契約すると、もう睡眠時間を0にしても足りなそうなので無理。気になるが、おそらく観ないままになりそう。人生損した気分。

「天気の子」はTV放映待機。新海誠作品なのにどうしても、どうしても心が動かなかったんだ……。作品を観る前の環境ノイズが多すぎて、疲れちゃったんだ。 では、今年も頑張りましょう。