とあるWeb開発者の集う会議に参加する。ユーザーインターフェースについて議論する会であった。
この会議が、どうにも煮え切らない。会議中ずっと、なぜ議論が煮え切らないのか考えていたが、ふと「ここにいるメンバーはデザイナーではない」ということに気づいた。中には数名Webデザイナーの肩書きを持つ方もいらっしゃったのだが、議論の中心と議論の方向は「Web制作者」をターゲットに据えていることが分かり、これが違和感となって、今ひとつ議論に乗り切れなかったのだと気づいた。「Web制作者」というニュアンスには、企画、設計、デザイン、コーディングなどの様々な業務を含んでいるわけだ。
デザインという行為が持つ「デザイン論」というものについての理解が薄いと、必然的にユーザーインターフェースへの理解は進まないのではないだろうか。いや、デザインに限らずおよそものづくりという行為には「ものづくり論」があるわけで、それを無視して制作者同士の会話は成り立たないのではないだろうか。よく初心者向けのHowTo本で、デザインはかくあるべし!といったトーンで特定の価値観を押し付ける「デザイン本」がある。件の会議に参加している方の中にそのような浅はかな方はいないと思うが、もしもそんな単純なレベルでのHowToを欲しがっているような動きしかWeb制作業界にないのだとすれば、そんな業界は腐っているとしかいえない。
もっと真剣に「Webデザイン論」を議論すべきだ。そのためにもっと勉強しなければ、と強く思った。