Flash周辺の新しい動き

Flash 8の正式リリースが近づくにつれ、これからのFlash周辺技術の方向性について各所で論じられるようになってきた。自分の中で整理をつけるために、ちょっと文章化してみる。断定的に書いている文もあるが、あくまで野村個人の考えであることを明記しておく。

・SWFはオープンソースで開発可能

Macromediaはフリーの開発環境EclipseでのActionScript開発を支援していく方向なので、ある種のSWFを作成するためには、もはや開発環境Macromedia Flashを購入する必要はない。オープンソースによるActionScriptエディタやSWFコンパイラは既に存在し、なんと(不完全ながらも)Flash 8に対応済みである。詳細はOSFlash.orgを参照されたい。ことActionScriptの開発においては既にEcripse+ASDT(またはFDT)がFlash MX 2004を遥かに凌駕している。ActionScript使いはすぐにでもEcripse+ASDT(またはFDT)に移行すべきだ。

・ラスターデータ関連処理の強化で、これまでのFlash制作の常識が覆る

Flashはその誕生の経緯から、ベクターデータの処理を主軸としたアニメーションに特化されたフォーマットであった。ところがFlash 8ではラスターデータ関連の処理が一気に追加された。Flash 8のベータ版を入手された方は論より証拠、fladdict.netさんのエントリを参照されたい。

映像的な効果(エフェクト)を得るために今まで多くのTipsが世界中のFlasherによって培われてきたが、そのうちのいくつか、いや半分以上は「古い」技術になる。SWF上でのエフェクトもこれまでより手軽に作成され、かつこれまで以上に軽快に動作することになる。また、AfterEffectsなどによって前もってエフェクトを生成して貼り付けることも可能になったことで、更に表現の幅は広がる。

これまでのSWFでは表現できない映像効果が作り出せるということは、これまでの固定観念に捕らわれない斬新な発想を持ったFlasherがこれから伸びてくるということだ。

また、開発環境としてMacromedia Flashシリーズが目指す方向はビジュアル開発ツールとしての方向に絞られていくだろう。ActionScriptの開発環境は前述のようにオープンソースで発展していくという芽があるからだ。今思えばMacromedia Flash MX 2004は不幸なバージョンだった。ActionScript 2の登場に合わせて登場したのにActionScript開発環境がボロクソだった上、ビジュアル開発という点では目新しさが非常に薄かった。MX→MX 2004へのバージョンアップには納得しなかった方も多かったと思うが、次からは期待していいんじゃないだろうか。

・SWFは業務系アプリで目覚しく普及していっている

一般の方には摩訶不思議なことかもしれないが、帳簿をつけたりスケジュール管理したり何かのシミュレーションをしたりデータベースとの連携をはかったり、といったアプリケーションの形式としてSWFは注目されている。

これまでWebアプリとしてこういったアプリケーションを作る際には、所謂cgi(サーバーサイドで処理 + HTMLでの出力)が基本だった。どんな些細な加工でもサーバー側で処理するというのがcgiの基本スタンスなので、例えば四則演算、表の並べ替え、入力されたデータのチェック、データ変更の確認表示などの処理をするのに、いちいちサーバー側にデータを送り、処理してもらい、HTML形式で返事を返してもらっていた。対してSWFは先に挙げた程度の処理ならこなしてしまえる。サーバーの負荷も減るしデバッグも容易になる。

業務アプリのように単調かつ正確さを求められるアプリケーションを開発するときこそ、SWFの真価が発揮されると力説する方も多い。どうしてもFlashというと映像効果のインパクトが強いせいで所謂お堅い方たちへの受けが悪いので、例えばMacromediaはFlexという製品を発表して「お堅い」SWF開発をアピールしている。Webでのプログラム開発というと、実はコンシューマ向けの案件よりも業務向けの案件の方が多かったりするので、中小のWebアプリ開発会社には特にSWFの普及は大きい意味を持っているのだ。

とりあえず、今日はここまで。頭の中が少しすっきり。