FlashでiPhoneアプリが作れるということの意味

最近の野村はiPhoneアプリの開発で忙しくて日記もまともに書けない。開発中のiPhoneアプリは会社名義で発表するので半分お仕事だが、正確には研究開発が目的である。なにせ初めて作るiPhoneアプリだ。まともに動くかどうか……、いや動かしますよ。

ところでiPhoneアプリはXcodeという開発ツールを使用して、Objective-Cという言語で作る。これが曲者で、XcodeもObjective-Cも、Mac OS XとiPhone向けにしか使われないという非常にニッチな代物だ。

そこでFlashの登場だ。現在のFlashで用いられているActionScript3.0を使って(数段階の変換をかまして)iPhoneアプリを作ろうという、Adobeの出した「別解」によってiPhoneアプリ開発の世界は一気に裾野を広げる可能性が生まれた。少なくとも言語が2つになればプレーヤー数は増える。プレーヤー数が増えれば、当然開発の裾野は広がる。

問題は「裾野」が広がることがiPhoneアプリ開発の状況をどう変えるのかということだ。

現状ではiPhoneアプリ開発はObjective-Cでしか行えない。技術力があってモチベーションの高い方々は既にiPhoneアプリを世に送り出しているのだから、このObjective-Cを習得したということになる。つまり、この人たちは今回の「FlashでiPhoneアプリが作れる!」という事態によって影響を受けるようなことにはならない。iPhoneアプリが生まれたての頃ならともかく、この期に及んでiPhoneアプリ開発の先頭グループが大きく舵を取り直す必要なんかないだろう。

どうしてもiPhoneアプリを作りたかったのにObjective-Cを習得するには技術力がまだ追いつかない、という方には今回の「FlashでiPhoneアプリが作れる!」という事態は福音だろう。モチベーションが高い方はActionScirpt3.0を使って優れたiPhoneアプリをたくさん生み出してくれるのではないかと思う。

そして、Objective-Cを習得せずに、「それなりの規模感で」iPhoneアプリを作りたいと思っている方々。これは非常に多いと予測する。これまではObjective-Cの習得コストがかかりすぎていて、「そこまでしてiPhoneアプリを作りたくない」から断念してきた。この「断念」の中には「そこまでしてiPhoneアプリ作りたくねーよ」というネガティブな方もいるだろうし、「iPhoneアプリ作れたらもっと面白いのになぁ」というポジティブな方もいると思う。そこに対して区別をするのはさておいて、結果論として現状のiPhoneアプリの先頭グループとは違うゴールを目指していると考える。

「裾野」が広がるとはそういうことだ。

「FlashでiPhoneアプリが作れる!」という事態によって、これからiPhoneアプリのバリエーションは増えて行くだろう。お仕事も増えるだろう。可能性の数だけジャンルが生まれてアプリが発表されるような、楽しい世界になるとよいなぁ。