12月に観た映画の話をしよう(3)

年末なのでTVでも色んな話題作を放映し始めた。それは嬉しいのだが、とてもじゃないが観ている時間がない。録画しておいて時間があるときに小出しに観るしかない。その点においては実は、途中でCM中断が挟まれる現在の民放の放送スタイルはむしろ有り難かったりもする。録画で観ているから、CMは飛ばしてしまうんだけどね。なんだか矛盾しているが、事実なので仕方がない。

さて、「ライラの冒険 黄金の羅針盤」。原作は全3部作らしいのだが諸般の事情によりこの第1部より後の映画化の話は無くなってしまったらしい。オーソドックスなファンタジーの世界観で、既視感と戦わねばならない部分も多々あるが、まぁすんなり物語にはのめり込めた。ただ、色んな謎を秘めたまま終わるエンディングだったりもするのだが(前述の通り物語自体には続きがあるため)、その割に強大な何かとか世界の生い立ち的な何かとか、そういった類の壮大な裏テーマみたいなものは全く感じられず。近年はファンタジー映画が若干乱立しているだけに、他の作品との比べるとインパクトが薄いなぁ。

そして紀里谷和明監督「GOEMON」。キター。もうね、観る前から「この映画はヒドイよ!」と分かっていたので、逆に安心して観ていられた。ストーリーがもっと希薄なほうが良かった。下手にストーリーやテーマがある風なウソを付かないで、割り切って「かっこいい絵だけで映画作りたーい」と言い切っちゃったほうがいいと思う。良くも悪くも日本で(世界で?)このテイストの絵作りが出来るのは紀里谷しかいないわけで、もうそれだけで押したほうがいいと思う。もっとアクションシーンだらけにして、なんならR-15指定にして血しぶきとか出しまくって、もう「絵だけです!」という映画にしたほうが観ている人にも何がやりたいのか伝わると思う。尺も半分でいい。

で、映画館に観に行った作品が「キック・アス」。R-15指定なので血しぶきとか残虐な殺戮シーンが苦手な方はちょっと覚悟したほうがよいが、オススメしたい。ヒーローに憧れる主人公が本当にヒーローになっちゃうというアクション・コメディで、映画全編にヒーローものの映画やコミックに対する愛が感じられる。映画が好きな人が映画好きのために作る映画とか、アメコミ好きがアメコミ好きのために作るアメコミとか、もうピュアすぎてイノセンスすぎて。ヒットガールにシバかれたいと思っちゃうわけですよ。

とりあえず今月はこれで映画は打ち止めかなぁ。年末にまだ観られる機会があるかも知れないが、とりあえずここまで。