トラックパッドのスクロール向きが逆になった

Appleから新しいバージョンのOSが発表され、Mac OS 10.7(Lion)からトラックパッドで縦スクロールをさせるときのジェスチャーの向きが、それまでと逆になった。

上方向に向かってスクロールさせたいときに、これまでは上から下に「下方向に」なぞっていたが、新しいバージョンのOSの設定、その名も「ナチュラル」にすると下から上に「上方向に」なぞらなくてはならない。

文章で書いてみるとその違和感がはっきりするかと思って書いてみた。確かに、今までがおかしかった。

画面を縦方向にスクロールさせたいという欲求は、Webページなど文章主体の情報を閲覧するにあたっては特に高まる。だから、マウスにホイールが搭載されたときに皆が好意的に受け止め、爆発的スピードで普及したのだ。このホイールが採用したジェスチャーが、下を見たいとき=情報を「上方向に」スクロールさせたいときはホイールを上から下に「下方向に」回すというものだった。

今考えてみると、これは形状がホイールだったから直感的に理解できたのじゃなかろうか。ホイールの、マウスに隠れて見えない部分があたかもホイールの下に置かれた紙を捉えて、その紙を下から上にぐいっと動かしているかのようには思えないだろうか。

それがいつしか時代が流れ、ホイールが平面になり、ホイールで行っていたジェスチャーを模倣するように平面になったパッドの上を上から下になぞるようになった。もうホイールじゃないのに。

冷静に考えてみれば、パッドが紙だと思えば、下のほうをみたければ紙を上に上げる、下から上に「上方向に」動かすのは理に適ったジェスチャーといえる。

まぁ、それまで培われてきたものをあっさりと捨て去られて、既存のジェスチャーに慣れ親しんだ多くのユーザーが「なんじゃそりゃぁああ」とちゃぶ台ひっくり返したくなる気持ちは分かるし、自分もまだ全然慣れないが、まぁそのホイールにしたってたかだか十数年の歴史しか無いわけで。進化の早いコンピュータなるものを触って一喜一憂している間は、こんなこといくらでも起こるんだろうね。