連休なので映画を観たよ

沖浦啓之監督の待望の新作「ももへの手紙」を観た。興行成績、大丈夫なのかなぁ。本当に客が少なかった。

まず文句を言いたい。7年も作っていたせいで逆に(制作費改修のために?)公開時期をうまくコントロールできなかったんじゃなかろうか、完全にタイミングが悪い!作品の内容から考えたら夏休みでしょうに!今年の夏は細田守監督の新作が公開されるから、知名度からいって不利と判断した気持ちは理解できる。でも、作品が完全に夏仕様なのに!

ラストのたたみかけが冗長すぎる。全部の伏線を改修したいのは分かるが。特にこの作品は人物の表情を作画でばばーんと見せる(魅せる)のが特徴なので、くどく感じる。

声優が、ちょっと。最初に配役を聞いたときは耳を疑った西田敏行のほうがむしろ好印象という。

でもね、この映画、好きです。とにかく作画がすてき。ジブリ作品をみて「CGに頼らない作画が云々」と語りたがりな方々は是非観て頂きたい。神作画は別にジブリの専売特許ではないんだ、日本のアニメを支える技術力の一つなんだ、といえる。モブ一人(一体)から丁寧に作画されているし、なんといっても仕草が気持ちいい。キャラデザが時流に乗っていなくて残念ながらあまり可愛くはないが(いや、ところどころ主人公のももがめっちゃ可愛いカットもあるよ)、とにかく丁寧だ。ここまで行くと実写のほうがいいんじゃないか?と思えなくもないが、実写だと逆にここまで作り込めないんだよね。実写ならば一流の役者に一流の演技をやってもらう必要があり制作費がうなぎ登りになっちゃう上に、それでも監督のイメージどおりに作れる保証はないわけで。

脚本は首をかしげたくなる部分もなくはないが(説明的過ぎだったり、強引と感じる部分もあるし)、お母さんの描写は(ラスト以外は)ハッとさせられた。

というわけで、ここから先は全く流行る様子も要素も感じさせてくれない「ももへの手紙」ではあるが、「マイマイ新子と千年の魔法」とか「カラフル」のように隠れた名作枠ででもいいからもうちょっと評価されて欲しいな、と思う。

もう一つ観に行った。「バトルシップ」。まごうことなきバカ映画。こんなヤツに人類の未来を託したくないというチャラ男を演じた主演のテイラー・キッチュと、かなりおいしい役どころをかっさらった浅野忠信による熱い漢の友情ドンパチSF。正直に白状すると、前半はつまらなすぎて途中で意識を失いかけたが、バカ映画なのでストーリーを見失うようなこともなく。ドンパチがスタートすればもう大丈夫、いけいけ打て打て、アレ?いつの間にか重要人物がひとり消えていた、でもいいやゴーゴー!

「バトルシップ」はそんな感じ。盛り上がりたいときにおすすめ。