秋葉原の面白さがちょっと分からなくなってきた。
オタクの聖地としての秋葉原に異論はないのだ。ただ、オタクの多様性が生み出す山脈のような街から、山々の間が埋め立てられて台地のようになだらかなフォルムになったような気がする。エッジが先鋭化すればジャンルごと崩落するわけだから、肉付けされて太く(角が取れて丸く)なることは悪いことではないのだが。
残念ながら自作PCというジャンル自体は先鋭化を始めている。これはジャンルが生まれた頃から運命づけられていた寿命なのかもしれない。だって、工業製品だもの。これがマンガとかなら一見均一化されているかのようなプロット、絵柄の中にも(それなりの)個性を見い出せるだろうが、工業製品では1+1=3となるような奇抜さはそもそも受け入れられない。規格は標準化されていって、個性は消える。
秋葉原の地において一時期は激しい出店合戦が繰り広げられていたこのジャンルだが、今では統廃合が進み、或いは店自体が消滅し、売り場も取り扱うジャンルも看板までも色々と差し替わって、なんだか良く分からなくなってしまった。
仕方がないので、ロートルは通い慣れた店を巡るコースを無難に歩くのであった。
マンガでいえば平置き、コンビニの陳列棚でいえばエンド、そういったところから勢いとか店側の推しとかを知ろうと店舗を覗く。ネットでは分からないニュアンスというか。逆に、特価品とかセール品の取り扱いはネットの得意分野なので、リアル店舗にはもはや期待していない。
店舗に展示してあった売れ筋のCPUクーラーの大きさを確認した。12cmなどの大型ファンを使う関係でこんなに大きくなっちゃったのか。昔はファンを大型化するのは「思い切った作戦」だったと思うが、今では当たり前なんだなぁ。
そういえば、大昔はVGAにファンが付いているのもハイエンドモデルしかなかったな。なのでファンが3つも並んでいるモデルをみるとゾッとしてしまう。電源供給もマザーボードからだけではなく別に引っ張ってくるのが普通になっているみたいだし、いやはや本当にPC in PCの様相である。価格を考えても、まぁ大体そんな感じである。こんなにVGA頑張っちゃって、何をするのかといえばゲームなんだから、オタクって恐ろしいわ(註:今日の日記は「Oculus Riftで遊びたい一心でPCを新調する話」です)。
それにしても、リアル店舗で目視確認せねばならない要素は非常に減った。マジマジと眺めたのはマザーボードと上記のパーツくらいで、後はもう急激に興味が下がったというか、そもそも他にどんなパーツを買っていたのかも良く思い出せなくなってしまった。無理にここで何か新しいパーツを買わなくとも、ハードディスクもCD-ROMも家の中に転がっているし、もう何とかなるんじゃないか?と。そのときはそう思ってしまったんだ。
なんとなく秋葉原に行けば新しい発見があると思ったんだ。または、誰かと一緒に行けばまた違う結果だったかも知れない。強い動機とか、勢いとか、雰囲気とか。そういうのが掛けていたんだ。自分があまりに中二病だった頃ならば、ここで無理にでも需要を思いついてへんてこなパーツを買い漁ったかもしれない。だが、もうすっかりと、オタクとして心の中で先鋭化させておかねばならなかった部分がなまってしまったのだ。
後日、野村はさくっと通販でパーツ一式を揃えたのであった。次回、組み立てる。