雇用不安と資本主義と

秋葉原での悲しい事件で、犯人をオタクでネクラで異常な人間だったと結論付けようとするマスゴミ報道が加熱する中、ぽろりぽろりと犯人が勤めていた会社とか雇用の実態がみえてきている。

「200人→50人に人員削減する」ということは、生産能力を1/4にするということでしょ、自動車の国内販売台数ってそんなにヤバいんだろうか。それとも、人員を1/4にしても効率化でこれまでの生産能力を担保できるんだろうか。つまり1人が4倍働く、と。

正社員を残して派遣を全部カットする予定だ、みたいな噂もあったようで。「便利だよな、派遣(笑)」と経団連の会長が笑っている姿がつい想像できてしまう、そんな野村は悪い子ですか?

人材を育てるのは金がかかる。日本は子供の教育に金がかかるから、なおさらだ。義務教育+高校+大学+新入社員研修と、ここまでやって「人材」が完成すると考えると、1人育てるのにへたすりゃ億単位の金がかかる計算だ。派遣というのは、その「人材」をレンタルする制度なわけだが、そこまで育てた人や団体にお金が返済されているんだろうか。

行政を資本主義の視点から考えれば、教育と医療は出費のみで利益を産まない赤字部門だ。産業と何とか結びつけて連結決算で黒字化させたいところだが、人材は世界中で流動しているので教育された地域=産業に従事する地域とはならない。野村も、札幌と福岡で育ててもらって、東京で働いているから、野村単体で考えれば札幌と福岡は赤字だったことになる。極めて資本主義的な考え方でいえば、現状、教育にお金を投資しても利益は出ない。

派遣が悪いといっているのではない、うちの会社でも人手が足りないときにとてもお世話になっているし(できれば正社員になって欲しい!と思うくらいに)、期間限定の就労という点を生かして働くというライフスタイルも素敵だと思う。

悪い印象があるのは、派遣の人のせいでもなく、派遣というビジネスそのもののせいでもなく(あくどいビジネスだという声もあるが、ここではそれはビジネスの方法論の問題だと考えている)、派遣をインスタントラーメンのように考えて買い漁っている会社があるからだ。

悪いことをした人に同情するようなセンチメンタリズムは残念ながらない。が、「静岡の某自動車メーカーの系列の工場」っていうのはさ、問題のある職場だったんじゃないのかなぁ、と勘繰りたくなる今日この頃。