12月に観た映画の話をしよう(2)

アル・パチーノとロバート・デ・ニーロ主演「ボーダー」。この二人の競演となればもっと注目されても良かった筈なのに、この映画が公開されていたことすら野村の記憶に無い……。それもその筈だ、この映画、それほど盛り上がらない……。演技は面白いんだが、逆にその安定感のせいか、全体的に予定通りにことが進み過ぎる。

ギリシャ神話を描いた「タイタンの戦い」と、ギリシャ神話をモチーフに現代を舞台にした「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」を偶然にも立て続けに観た。

「タイタンの戦い」は神話の世界をそのままVFXを駆使して再現するという趣向。この趣向ならば、例えば往年のスペクタクル映画を思わせる映画らしい壮大さが生まれれば吉、或いは「300」のようなどことなくファンタジーな雰囲気も吉だろう。ところが、往年のスペクタクル映画の様相ながらVFXを使ったせいでチープな印象を与え、ファンタジーとしては描写の妙が少なすぎる。特に、人間と神のスケール感があまりに近過ぎてつまらなかった。神を人間のスケールで描いたら、ぶっちゃけ人間みたいに見えてしまって盛り上がらない。そこが一番引っかかった。

ストーリーもスケール感を見誤っている。神話のエピソードから何を取捨選択するべきか、見誤っている。駆け足でエピソードをなぞられてもなぁ。

そこへ行くと「パーシー・ジャクソン〜」はズルい。まずスケールを人間サイズに統一してしまった。現代に神が居たらこうなるだろうという、「聖☆おにいさん」ばりのハッタリである。そして、主人公の少年にまつわるエピソードに終止させることで尺に収まっている。むしろ、なぜ題材がギリシャ神話だったのか、単にギリシャ神話と言いたかっただけなんじゃないか、というぐらいに神話関係ない。

それゆえに、全体的にチンケだ。特に主人公が成長しているフリをして全く成長しない、ちょっと苦労した風な出来事の5分後には全て解決するという典型的な「全能独裁者型(野村が命名)」のストーリーが安直さを醸し出している(この「全能独裁者型」についてはいずれ日記に書く、書きたい)。冒険をしているようで、一本道をガシガシ進んでいるだけのようなダルい印象である。

故にこの2作品、イマドキのハリウッド作品として考えれば「パーシー・ジャクソン〜」の勝ちと思う。そして、敢えていわせてもらうなら、こんなに長々と感想を書いたが、つまりどちらも面白くなかった。そして、メデューサの人気に嫉妬。

後はベニチオ・デル・トロとアンソニー・ホプキンス競演の「ウルフマン」を観た。観たときの体調が優れなかったせいか、とても眠い、眠い、眠い。雰囲気はまぁまぁ良かったのだが、とにかく長い、長い、眠い、眠い。一応ホラーなので、残酷な描写アリ。眠い。

さてさて、ここまでが宅配レンタルで借りて観た映画たち。今月はもうちょっとだけ観てますよ。