2011

2011-07-03 6月に観た映画・ジェントルメン編

6月に観た残りの映画を紹介するが、偶然にも全部主人公が男性だったのである。先日書いたものもあわせて6月は8本観て全部男性が主人公というのはちょっと珍しい。

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「英国王のスピーチ」で主演男優賞を受賞したコリン・ファース主演「シングルマン」。同性愛というマイノリティゆえの純粋な愛と死の話。ひたすら抑えた演出なのに心をとらえて離さないのは、主人公の演技が素晴らしいからなのではないか。地味すぎて観る状況を限定してしまう映画ではあるが、決して悪くない、悪くないですぞ。

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リチャード・ギア、ドン・チードル、イーサン・ホーク共演「クロッシング」。三人の警官の落ちぶれていく人生が交錯するという物語。うーん、何か惜しい。見せ場が無いわけじゃないが、全体的にはサスペンス映画として普通な規模感に収まっちゃったという。こういうサスペンス映画が観たいと思ったときに、そっとラインナップの選択肢に加えるべき一作。……いや、そういう気分になるときがあるのですよ、サスペンス映画好きって。なんでもいいからサスペンスなのが観たいのだよ!ってときが。

個人的にはリチャード・ギアがあの甘いマスクで愚痴をこぼすダメ警官を演じているのがツボに入った。全然ダメ警官が似合わない……!

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アイルトン・セナのドキュメンタリー「アイルトン・セナ~音速の彼方へ」。F1好きならもちろんのこと、スポーツとショービジネスの狭間で葛藤する若き天才、というセナの生き様に興味が湧いたらぜひ観てもらいたい。普通に面白い。ドキュメンタリーとして、映画としてどうかというのはちょっとよく分からないが、セナの人生がドラマチック過ぎるので、楽しめると思う。

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「アメリ」のジャン=ピエール・ジュネ監督「ミックマック」。この監督はこの手のハッピーな映画ばかりを撮る監督ではないので気をつけないといけないらしい。で、この映画はハッピー、痛快お気楽な映画。主人公はその後どうなっちゃうの?とか気にしちゃいけないんだろうな。

というわけで、以上6月に観た映画の感想を書き連ねた。同じ映画でも人によって違う感想があり、時には真逆の意見も聞けたりして、そういう議論は非常に楽しい。正解はないと思うし、自分だって時期や体調やシチュエーションが違えばまるっきり違う感想を抱くかも知れない。そういう偶然性も含めて映画を楽しみたいし、そういうスタンスで野村の一意見を読んでいただければと思う。

tags: マンガ・アニメ


2011-07-01 6月に観た映画・漢(おとこ)編

6月に届いたレンタルDVDから、どことなく汗臭い傾向の作品達をまずご紹介。

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シルベスター・スタローンが監督・主演する「エクスペンダブルズ」。きたー!って高揚しただけで本編観なくても得をした気分になれるという不思議な一本。企画を聞いたときから、だれも本編ストーリー自体には全く期待していなかったという不思議な一本。強いて苦言を呈するなら、もっと配役たちのパブリックイメージのまんまの見せ場が欲しかったなぁ。それぞれが画面上で好きなことだけやって、ストーリーを強引にねじ曲げるくらいでもよかったかも。

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リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演の「ロビン・フッド」。ほうぅぅら、男くさいだろうぅぅ。もうね、ラッセル・クロウは世界有数のムサ男だね。作中でも臭いって云われているしね(遠征していたのでまともにお風呂に入っていないという設定なので)。それはともかくこの映画、日本では劇場公開に他の作品の影に完全に隠れてしまった印象がある。映画としての出来は悪くないと思う。歴史もの、中世ヨーロッパで騎士もの、っていうキーワードでぐっと来る方には迷わずオススメできる作品なんだけど、どうしてもジャンルそのものが昨今の流行とは違うし、手法としてみても新しいキャッチーな要素は無いから「今観たい!」と思えないんだよね。そういう気分になれないのが、受け手側としてみても残念でならない。

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デニス・クエイド主演「パンドラム」。SFと思って観たらホラーだった(野村はホラーやスプラッタが苦手)。で、我慢して観続けたら、やっぱりSFだったので安心したという。何を書いているのか自分でも判らなくなってきたが、なんだかんだいて軸足はちゃんとSFしていて、謎解きがメインなのでストーリーの話に触れづらいんだな、これが。こういうオチ、好きですよ、ワタクシ。

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そしてロバート・ロドリゲス監督「マチェーテ」。こういうのをバカ映画というんだよ、もう揺るぎないバカ映画。そもそもB級スプラッタ(正確なジャンル名判りませんすみません)を作る!という企画意図なのだそうだが、その徹底した本気の手抜き加減、おふざけ具合が最高。上記で書いたようにスプラッタが苦手な野村だが、これが飲み屋でBGVとして流れていたら酒が進むよ。この映画、気になっていた方は迷わず観たほうがいい。期待通り、そのまんまだから。ちなみにジェシカ・アルバさんは脱がないことで有名な女優さんで、シャワーシーンは合成だそうです。と、くだらない映画トリビアを書いたところで、残りの映画は後日。

tags: マンガ・アニメ


2011-06-30 5月に観た映画・激情編

もう6月が終わるというのに、5月に劇場で観た映画のメモを遺し忘れている。急いで書かねば!

まずは「ブラック・スワン」。云わずと知れたナタリー・ポートマン主演の、もう名作認定でいいよね、それくらいな作品。なにが素晴らしいってダーレン・アロノフスキー監督の前作「レスラー」同様、不器用に生きる人間をまっすぐに描く力強さと残酷さ(流血シーンがあるから、という意味ではなく現実や心情の残酷さ)が観るものを引き込んで離さない点が素晴らしい。俳優自身とストーリー上の主役の境遇の見事な絡み合い(いわゆる「アテ書き」)が、もう色々考えてしまってもう!って悶絶してしまうくらい。

次に観たのは「エンジェル・ウォーズ」。ザック・スナイダー監督が趣味丸出しで作ったといわれている作品。ざっくりと乱暴に野村の感じた印象を云ってしまうと「エンタメとしてよく出来ている押井守『アヴァロン』あるいは『アサルト・ガールズ』」。マンガやアニメ、特撮の影響を受けた演出がさすがザック・スナイダーだな、と。そしてダークな世界観が非常に美しい。で、トータルで考えると、うーん、このストーリーで一般受けは無理だよね、華がないもん。だからといってカルト映画というほど素っ頓狂でもない。そういう意味ではターゲットが判りづらい。本当に「趣味」の映画なんじゃなかろうか、と。

で、「星を追う子ども」。新海誠監督の最新作ということでアニメファンなら皆観たのではないかというくらいにオタク層で盛況だった。うん、いい作品なんだな。だが、新海誠監督が初めて挑戦したジュブナイルものということもあり、つまりはこれまで新海作品を支えてきたオタク層からの脱却を狙ったのではないかと思えるプロットで、これがなぜか既視感、もっと具体的にはジブリのオマージュじゃね?と思えるところが多々見受けられるに至った。表現やアクションなど随所に新海作品らしさは垣間見えただけに、特に素人目につきやすい登場人物の風貌やしぐさ、言動に既視感があるのが非常に残念でならない。オタクではない極めて一般な趣味をお持ちの方が観たらどう思うのだろうか。ともあれ、ジュブナイルものの王道はきちんとクリアしていると思うので、その意味では安心の新海ブランドを確立したなぁ、と納得できる作品。

ところで観客のほとんどがオタクだったと感じたのには訳があって。野村は池袋の映画館で観たのだが、本編開始前に戦隊ヒーローもの映画の予告編が流れ、そのとき会場が俄にざわついたからだ。おい、お前達、あからさまに反応し過ぎだ。

tags: マンガ・アニメ


2011-06-26 Trust in Japanに協賛してきたよ

Trust in Japanというプロジェクトがある。ツイートするたびに100円が寄付されるというプロジェクトだ。このプロジェクトの面白いところは、その100円の寄付は一口1万円で「協賛」を申し出た人物が自身の手で好きなところ(もちろん公的な基金等へ)へ振り込むというところ。この仕組みは巧妙で面白そうだ、ということで野村も協賛を申し出た。

前の協賛の方が申し出た数のツイートが終わると、次の協賛の方に順番が移る。野村が協賛した分の100ツイートは昨日の午後に始まり、昨晩終了した。その間は約8時間ほどだったが、昨晩は友人と飲んでいたのでどんなツイートが行われていたのか、実は知らない。でもきっと、この仕組みを面白いと思ってくれた方やこの震災に心揺さぶられた方の思いが、あるいはごく普通にごく普通のツイートがネットワーク上を流れていったのだろう。

アクションとリアクション。果たして約束の100ツイートは行われた。協賛者として約束の1万円を振り込んだ。うっかり手が滑って振込額を間違えたが。

というわけで、以下に野村が書いた振込報告文を引用します。いつもどおりの中二病的なクッサイ文章です。

きっとお会いしたことがないネットワークの先の100人の皆さんのツイートを受けて、ロジックによって規定された約束に従い、オンライン振り込み処理を致しました。ここまでのすべては情報の中でのみ行われました。これが現実世界の行動に繋がっていくのか、これからそれを見守っていきましょう。

tags: インターネット


2011-06-10 5月に観た映画・希望編

前回の日記の最後のほうは完全に寝ながら書いていたので、「ぼくのエリ 200歳の少女」について補足。前回は必要以上にネガティブな(そして中身がない)書き方だったが、青春ものの「危険な遊び」的な空気感はオシャレで、そういうのが好きな方にはオススメできる。単に野村の趣味じゃなかったというだけで、ハリウッドリメイクとか行われるくらいには面白く観られた。ライトなホラーっぽい雰囲気で、映画から伝わる冷気(スウェーデン映画なのだから当然か)がこれからの季節にいいかも。

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日本映画、マンガが原作らしい「シーサイドモーテル」は、気軽に観られてちょっとオシャレなコメディ映画。登場人物の行動が予期せぬ形で絡み合う展開なので、観ている側を飽きさせない。こういう映画、もっとたくさん作ってよ、JAPAN。

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中島哲也監督、松たか子主演「告白」は、野村の周囲ではあまり評判が良くなかった。この監督の特徴としてストーリーを「舞台」的に演出する点があるが、本作では更にそれが押し進められて「リアルな現実を描いているふりの虚構」といった風情になっていると思った。原作未見なのだが、ストーリーはかなり飛躍していて観ているものを不安にさせる。嘘みたいなストーリーをこの映画ではリアルな演技で描き、過剰な演出でもう一度覆い隠している。一言で云うなら「やり過ぎ」で、このやり過ぎ感は確かに賛否分かれるかもなぁ、と思った。ちなみに野村はなんとなく始めから「この監督は芝居を描く」と決めてかかっていた節があって、どんな演技も演出も虚構だと決めつけて観ていたから、あまり違和感なく楽しめた。

全然関係ないが、この原作、本屋大賞取っているんですよね……。うーん。うーん。うーん。一応、読んでみるかなぁ。

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韓国映画「息もできない」はものすごい圧力で攻めてくる映画だった。韓国映画特有の貧乏と暴力の描写が、観るものの胸を押し付けてくる感じ。監督・主演のヤン・イクチュンはこれが監督デビュー作ということで、脚本の分かりやすさや映画的手法などの面に少し違和感を感じるという側面もあるが、それにつけても迫力がすんごい。深く沈み込むように、まさに息もできなくなる映画。

映画の始めから、主人公の暴力シーンが延々と続く。主人公の心理の奥をなかなか映像には描かない。なのに、家族との関係など周囲の状況から徐々に主人公の感情や思考の輪郭が見え始め、そのドン詰まり感に観客は目を背けられなくなる。映像で描かれる主人公自身に起こる変化はほんの些細なものなのに、観ている側はそれを過敏に感じ取ってしまい、もうドンドン引きずり込まれていく。これはおすすめ。

5月に借りた映画はこれくらいかな。5月は劇場で3作品ほど観ているので、印象が薄れないうちにそれらも日記に書かないと……。

tags: マンガ・アニメ