2011

2011-06-30 5月に観た映画・激情編

もう6月が終わるというのに、5月に劇場で観た映画のメモを遺し忘れている。急いで書かねば!

まずは「ブラック・スワン」。云わずと知れたナタリー・ポートマン主演の、もう名作認定でいいよね、それくらいな作品。なにが素晴らしいってダーレン・アロノフスキー監督の前作「レスラー」同様、不器用に生きる人間をまっすぐに描く力強さと残酷さ(流血シーンがあるから、という意味ではなく現実や心情の残酷さ)が観るものを引き込んで離さない点が素晴らしい。俳優自身とストーリー上の主役の境遇の見事な絡み合い(いわゆる「アテ書き」)が、もう色々考えてしまってもう!って悶絶してしまうくらい。

次に観たのは「エンジェル・ウォーズ」。ザック・スナイダー監督が趣味丸出しで作ったといわれている作品。ざっくりと乱暴に野村の感じた印象を云ってしまうと「エンタメとしてよく出来ている押井守『アヴァロン』あるいは『アサルト・ガールズ』」。マンガやアニメ、特撮の影響を受けた演出がさすがザック・スナイダーだな、と。そしてダークな世界観が非常に美しい。で、トータルで考えると、うーん、このストーリーで一般受けは無理だよね、華がないもん。だからといってカルト映画というほど素っ頓狂でもない。そういう意味ではターゲットが判りづらい。本当に「趣味」の映画なんじゃなかろうか、と。

で、「星を追う子ども」。新海誠監督の最新作ということでアニメファンなら皆観たのではないかというくらいにオタク層で盛況だった。うん、いい作品なんだな。だが、新海誠監督が初めて挑戦したジュブナイルものということもあり、つまりはこれまで新海作品を支えてきたオタク層からの脱却を狙ったのではないかと思えるプロットで、これがなぜか既視感、もっと具体的にはジブリのオマージュじゃね?と思えるところが多々見受けられるに至った。表現やアクションなど随所に新海作品らしさは垣間見えただけに、特に素人目につきやすい登場人物の風貌やしぐさ、言動に既視感があるのが非常に残念でならない。オタクではない極めて一般な趣味をお持ちの方が観たらどう思うのだろうか。ともあれ、ジュブナイルものの王道はきちんとクリアしていると思うので、その意味では安心の新海ブランドを確立したなぁ、と納得できる作品。

ところで観客のほとんどがオタクだったと感じたのには訳があって。野村は池袋の映画館で観たのだが、本編開始前に戦隊ヒーローもの映画の予告編が流れ、そのとき会場が俄にざわついたからだ。おい、お前達、あからさまに反応し過ぎだ。

tags: マンガ・アニメ


2011-06-26 Trust in Japanに協賛してきたよ

Trust in Japanというプロジェクトがある。ツイートするたびに100円が寄付されるというプロジェクトだ。このプロジェクトの面白いところは、その100円の寄付は一口1万円で「協賛」を申し出た人物が自身の手で好きなところ(もちろん公的な基金等へ)へ振り込むというところ。この仕組みは巧妙で面白そうだ、ということで野村も協賛を申し出た。

前の協賛の方が申し出た数のツイートが終わると、次の協賛の方に順番が移る。野村が協賛した分の100ツイートは昨日の午後に始まり、昨晩終了した。その間は約8時間ほどだったが、昨晩は友人と飲んでいたのでどんなツイートが行われていたのか、実は知らない。でもきっと、この仕組みを面白いと思ってくれた方やこの震災に心揺さぶられた方の思いが、あるいはごく普通にごく普通のツイートがネットワーク上を流れていったのだろう。

アクションとリアクション。果たして約束の100ツイートは行われた。協賛者として約束の1万円を振り込んだ。うっかり手が滑って振込額を間違えたが。

というわけで、以下に野村が書いた振込報告文を引用します。いつもどおりの中二病的なクッサイ文章です。

きっとお会いしたことがないネットワークの先の100人の皆さんのツイートを受けて、ロジックによって規定された約束に従い、オンライン振り込み処理を致しました。ここまでのすべては情報の中でのみ行われました。これが現実世界の行動に繋がっていくのか、これからそれを見守っていきましょう。

tags: インターネット


2011-06-10 5月に観た映画・希望編

前回の日記の最後のほうは完全に寝ながら書いていたので、「ぼくのエリ 200歳の少女」について補足。前回は必要以上にネガティブな(そして中身がない)書き方だったが、青春ものの「危険な遊び」的な空気感はオシャレで、そういうのが好きな方にはオススメできる。単に野村の趣味じゃなかったというだけで、ハリウッドリメイクとか行われるくらいには面白く観られた。ライトなホラーっぽい雰囲気で、映画から伝わる冷気(スウェーデン映画なのだから当然か)がこれからの季節にいいかも。

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日本映画、マンガが原作らしい「シーサイドモーテル」は、気軽に観られてちょっとオシャレなコメディ映画。登場人物の行動が予期せぬ形で絡み合う展開なので、観ている側を飽きさせない。こういう映画、もっとたくさん作ってよ、JAPAN。

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中島哲也監督、松たか子主演「告白」は、野村の周囲ではあまり評判が良くなかった。この監督の特徴としてストーリーを「舞台」的に演出する点があるが、本作では更にそれが押し進められて「リアルな現実を描いているふりの虚構」といった風情になっていると思った。原作未見なのだが、ストーリーはかなり飛躍していて観ているものを不安にさせる。嘘みたいなストーリーをこの映画ではリアルな演技で描き、過剰な演出でもう一度覆い隠している。一言で云うなら「やり過ぎ」で、このやり過ぎ感は確かに賛否分かれるかもなぁ、と思った。ちなみに野村はなんとなく始めから「この監督は芝居を描く」と決めてかかっていた節があって、どんな演技も演出も虚構だと決めつけて観ていたから、あまり違和感なく楽しめた。

全然関係ないが、この原作、本屋大賞取っているんですよね……。うーん。うーん。うーん。一応、読んでみるかなぁ。

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韓国映画「息もできない」はものすごい圧力で攻めてくる映画だった。韓国映画特有の貧乏と暴力の描写が、観るものの胸を押し付けてくる感じ。監督・主演のヤン・イクチュンはこれが監督デビュー作ということで、脚本の分かりやすさや映画的手法などの面に少し違和感を感じるという側面もあるが、それにつけても迫力がすんごい。深く沈み込むように、まさに息もできなくなる映画。

映画の始めから、主人公の暴力シーンが延々と続く。主人公の心理の奥をなかなか映像には描かない。なのに、家族との関係など周囲の状況から徐々に主人公の感情や思考の輪郭が見え始め、そのドン詰まり感に観客は目を背けられなくなる。映像で描かれる主人公自身に起こる変化はほんの些細なものなのに、観ている側はそれを過敏に感じ取ってしまい、もうドンドン引きずり込まれていく。これはおすすめ。

5月に借りた映画はこれくらいかな。5月は劇場で3作品ほど観ているので、印象が薄れないうちにそれらも日記に書かないと……。

tags: マンガ・アニメ


2011-06-01 5月に観た映画・微妙編

5月に観た映画がちょっと多めなので何回かに分けてメモ。ダントツでむかっと来たクソ映画は先日この日記に書いた。で、映画鑑賞日記にはなるべくAmazon.co.jpの画像とリンクを貼ることにした。というのも「絵」が無いと後で日記を読み返したときに作品を思い出せないことがあるので。観た筈なのに時間が経つと忘れてしまうという事実。

というわけで、まずは野村の中で評価が微妙な作品から。

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まずはアニメ。りんたろう監督「よなよなペンギン」。まぁまぁ面白いといえば面白いんだが、そのー、子供の描写が嫌いなだけで。多分普通の人にはおすすめ。安心して観ていられるし笑えるし。

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「リミッツ・オブ・コントロール」。えーと、なんで微妙かというと、観ていたときの体調が優れなかったのか、観た筈なのに既にストーリーをイマイチ覚えていないということで。いや、とにかく思わせぶりな演出とカメラワークが地味に続いて、睡魔が……。

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スウェーデンのサスペンス映画で三部作の完結編「ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士」。「2」の内容があまりにも酷かったのだが、どうもこの「3」と同時に観るように作られていたようだ。こちらはさしずめ「解決編」となっており、シリーズ内のあらゆるフラグを回収していくのでストーリーはちゃっちゃと進む。ただ、その反面で起伏が感じられず。ストーリー自体のオチに派手さがないのか、地味な完結編となった印象をうける。シリーズ通してみて、原作はベストセラー小説なのだと云われても、正直特に読みたいと思えない。個人的には雰囲気が好きな映画であるが故に残念でならない。

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スウェーデンつながりでもう一丁、「ぼくのエリ 200歳の少女」。全体に流れる観客に対しての媚びない姿勢や、少女エリのツンデレ具合などの気に入った部分も多かったのだが、通しで考えると、うーん。

眠くなったので続きは別の日に……。

tags: マンガ・アニメ


2011-05-31 今月観たクソ映画「インシテミル」とその原作について

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野村が好きな小説家の一人である米澤穂信の「インシテミル」という作品は、ミステリー小説だ。ジャンルとしては「孤島」ものであると同時に、「ミステリー好きのためのミステリー」が舞台となるミステリーという趣向になっていて、推理を要求される状況(演出)に巻き込まれる登場人物たちの心理戦がストーリーのメインとなる。

その「インシテミル」が映画化されたのが「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」というクソ映画である。

如何にクソ映画であるのか。演技でも映画的演出でもなく、原作の改悪にある。そもそも前述のように「ミステリー」であること自体がこの小説の醍醐味であるにも係らず、なんとこの映画には「ミステリー」がない。

この小説を映画化するにあたって、脚本家は尺の都合上どうしても原作の要素を削らねばならなかったに違いない。登場人物を十人に減らして、事件のいくつかをカットしなければならなかった。だが、そこであろう事か「そうだ、『ミステリー好きのための演出』は一般受けしないからごっそり削ろう!」と思い至ったようなのだ。つまり、原作から引き継いだ要素は「舞台装置」と「奇妙なイントロダクション」だけなのだ。

もはやこれは別作品。いうなれば「二次創作」に等しい。こんだけの俳優陣で描かれた壮大な同人映画である。

ミステリーの要素が無いミステリーなので、ただ単に人が死んでギャー、人が死んでギャーの繰り返しである。命を粗末にするな、と云いたくなる。ミステリーで命の尊さを語り出したら、それはギャグにしかならない。つまりこれも「ミステリー好き」のための趣向なのだから。

奥行きが無い登場人物の背景描写も気持ち悪い。ただ、原作では登場人物の過去や黒幕の実態についての描写は非常に淡白で、かなり好みが分かれるところだと思われる。なんとか一般受けを目指して「理由をこじつけた」あたりの努力が伺えるが、その結果原作では誤摩化されていた「舞台設定のチープさ」(野村はチープにみえるように意図されたものではないかと推測しているが、それはファン心理なのかもしれない)が、この映画でははっきりと映像化されてしまった。近年まれに見るチープなオチが訪れて、観るものの口を閉じさせてくれない。

というわけで、今月借りた映画の中からいち早くこのクソ映画について、原作ファンとしてケチをつけるべくこの日記を書いた。この日記を書くにあたって原作を読み直したりもした。うっかり間違ってこの映画を観てしまった方にはぜひ原作をオススメする。そして原作を読んだ方にはこの映画はオススメしない。

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