2010

2010-12-20 野村流・物語の作り方(「巻き込まれ型」編)

唐突だが、この悶々とした師走の空気の中、かねてより何処かに書き留めておきたかった「巻き込まれ型」の物語のポイントについて、ここに記そう。この通りに物語を作れば、あなたもイマドキのストーリーテラーになれるかも!

「巻き込まれ型」の物語とは、昨今の男性向け、女性向けのコミックやライトノベルを含む比較的ライトな小説、ドラマや映画などに見られるプロットのうち、主人公が「巻き込まれる」ことで物語が進行するタイプのものについて野村が独自でつけた呼称である。もしかすると学者や団体などによってそういった類型を呼称する尺度やネーミングが作られているかもしれないが、野村はそんなことは知らないので勝手に話を進めさせてもらおう。

特にゼロ年代以降の「巻き込まれ型」の特徴として、主人公Aは無気力で事なかれ主義な省エネタイプで、他人に干渉しないという主義を持ち、人生の目標が無難、中立、普通、安定といった類の方向に定まっている。友達がいないわけでもなく、さりとて人気者というわけでもない。頭脳も普通(バカではないが超がつく天才でもない)、運動神経も普通。

そんな主人公Aがある日ばったり出会うのが破天荒で常識に捕われない、次の行動が予測できないタイプの人物である。これを人物Bとしよう。同性でも異性でも構わないが、大抵の場合主人公Aよりも美形で、運動神経か頭脳か或いはその双方が優秀で、にも関わらずその長所をまともな方法で生かそうとはしない人物だ。主人公Aは人物Bに「巻き込まれて」災難に遭うところから物語は始まる。

主人公Aは人物Bについて、最初は反りが合わず出来るならば遠ざけたいと思っている。だがどうしても離れて行動することができないし、人物Bは主人公Aに対して馴れ馴れしい。人物Bの言動に次々と巻き込まれていく主人公Aは、やがて人物Bの行動原理や目的、または人物Bの出自など思考を形成するバックボーンに気づき、同情し、同調するようになる。そして訪れるターニングポイント、主人公Aは人物Bのために自らの信条を曲げてでも事象に関わろうとするのである。

さて、この手のプロットでは主人公Aは凡庸でありたいと考えていた筈なのに、なぜ先の見えない人物Bに加担するように心が動くのだろうか。そういう物語が世の中に多いという事実それ自体が語っているように、多くの人が「凡庸であることが世間では正しいとされているが、本当は型を破りたい」と願っているからではなかろうか。

物語を書く際の手法の一つとして、その時代の読者層に合わせた登場人物を出すことが挙げられる。こうすると感情移入がしやすくなるからで、上記の「巻き込まれ型」の場合は主人公Aがそれに当たる。言い換えれば主人公Aは日常で、対する人物Bは非日常を表現していることになる。非日常はこの物語を物語たらしめているフィクションの部分である。フィクションが魅力的だから物語を読むわけで、つまり人物Bは主人公Aと比べて非日常的で魅力的だ、ということになると野村は考える。

この「巻き込まれ型」の物語、最近では実に多くなってしまったが故に陳腐化した感も否めない。だがかつての勧善懲悪ものと同様に、ゼロ年代の王道プロットとして、確実に生き残っていくことだろう。ぜひこのプロットで、誰か面白いの書いてくれ。

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2010-12-09 数多ある「賞」のどれかひとつにでも

今年の文化庁メディア芸術祭の受賞作品が発表された。もう14回だとか。すっかり定着した感のある賞である。

で、この賞は意外に幅広い分野をカバーしていて、メディアアート、広告、映像作品、ゲーム、プロダクトなどおよそメディアだろうと思われるものなら基本的に何でもアリだ。そんなもんだから、批判も多い。ごった煮感というか、雑というか、対象が広範囲である故のラインナップの薄さというか。評価基準が曖昧だったり、そもそも自薦だったり。

ただ、自分が評価されたい側(作者側)であるからこそ気になる点も、評価されたものを観る側(観客側)として考えるとどうでもいいことだったり。誰かが「面白いよ」といってくれた作品ならとりあえず観るじゃないか。それが名目として公正な第三者の評価だよと云われれば、成る程、聞く価値もあろうと考えるのが普通だ。

賞にはそういう側面がある。だからこそ欲しいのね、評価されたい側としては。そういう意味では「どんなものにでも、褒められるのなら悪い気はしない」というのは間違いなくあって。

メディア芸術祭は14回分の実績もあり、どういう経緯にせよ評価されている作品は「いい作品」であることは疑いない。数多ある賞の中でもやっぱり抜きん出ていると思う。

……頑張ります。

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2010-12-07 SONY信者を辞める、いや辞めさせられる

20世紀の終わり頃、野村は生活をSONY色に染めることこそがハイテクヒッピーの正しいスタイルだと確信していた。発売されたばかりのネットワークウォークマン(SONY初のノースピンドル音楽端末、初代モデルは僅か単4電池2本分ほどの継ぎ目の無いアルミボディで異様な高級感だった)を聴きながら、CLIE(携帯情報端末。Palm OSを搭載していた。初代は白黒だったりバックライトが無い液晶に賛否が分かれた。また別売りのアダプタを使うとPHSを使った高速32kbps通信!も可能)をポケットに忍ばせ、鞄にはもちろんVAIO(初代は紫色でソリッドなフォルム、黒色一辺倒だったノートPC業界に激震が走った)であった。

そして現在、野村の自宅にあるSONY製のDVDレコーダーは、DVDレコーダーという名前の由来であった筈のDVD録画機能が正常に動作していない。これが壊れると、残るSONY製品で大きなものといえばPS3くらいになるだろうか。

これは一体どういうことだ。野村はSONY大好きっ子だった筈なのに。よくわからないときはSONY買っとけとか云っていたのに。

こんなにSONYが好きなのに、SONYは買いたくなるような良い製品をちっとも出してくれない。自慢じゃないがそれなりにこだわりがあるので、店頭で一番目立っていてそれなりな製品を買っちゃうんですよ、なーんていうタイプじゃない。野村はSONY製品が欲しいんだ。でも、こだわって調べるほどに、SONY製品が欲しくならない。この矛盾、ああ。

(追記)DVD-RでならDVD録画機能がちゃんと動いたよー!相変わらずDVD-RWは使えないけれど、とりあえずオッケー!

tags: 生活


2010-11-21 11月に借りた映画

今月も宅配DVDレンタルの規定枠である8枚を使い切った。順調である。

ティム・バートン監督「アリス・イン・ワンダーランド」。野村は公開前はあんなにはしゃいでいたのに、結局は映画館に行かなかった。どうしてだろう。ティム・バートンがアリスの物語を自分流に破壊したという触れ込みなら、もっと積極的に観に行こうと思ったのかもしれない。この映画、「不思議の国のアリス」の後日談という設定のオリジナルストーリーな訳だが、その設定が盛り上がらない感じなのが最大の敗因なのだろう。ちょっと盛り上がれない。あと、ジョニー・デップがビッグネームなのは分かるが、クレジットの一番最初ってどういうことなの?

恩田陸の同名小説原作の「夜のピクニック」。青春もので原作に忠実な印象。野村は原作を読んでいたので、映画にするような絵的に感動的なシーンがないのは分かっていた。案の定、映画にしてしまうと単調すぎる。実は多部未華子が目当てで観たようなものだが、それ以外にも若い役者が沢山出ている。どうしても学芸会っぽくなる部分もありながら、それでもいい感じの演技も観られたので、何年か後に振り返ると面白いかも。

アカデミー受賞作「ハート・ロッカー」。普通に良く出来た映画で、アカデミー獲得も納得できる。「ディア・ハンター」とかが好きな人には刺さるかも。ただ、感動が無かった。もう一回観たいという気持ちに何故かなれなかった。映画の登場人物のように、この手の映画に何も感じなくなってしまったのだろうか。

「板尾創路の脱獄王」。ごく普通のシリアスな映画を鑑賞中に、Twitterの非公式RTが飛んでくるような感じの映画。結果、映画でもなく映画の皮を被ったコントもなく。

マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の「シャッター アイランド」。劇場公開時の盛り上がり方がいまいちだった印象があるが、作品はまあまあ良かった。サスペンス映画は種明かしされたときにネガティブな印象を受けたかどうかが結構分かれ目だと思っている。野村にとってはこういうオチ、嫌いではない。

「月に囚われた男」もあまり騒がれた映画ではないと記憶しているが、こちらも上記同様ネガティブな印象を受けたかどうかが問題で、またしても野村にはツボった。ただ、結構手前でオチが分かっちゃったので、強いて云うならもう少し捻っても良かったんじゃないかと思う。

ジョージ・クルーニー主演「マイレージ、マイライフ」。コミカルに人間模様を描いていて好感が持てるが、残念ながらもう一回みたいと思わせるほどではない。

ジャン=クロード・ヴァン・ダムが本人役で登場し、現実とフィクションの狭間で話が展開する「その男 ヴァン・ダム」。ヴァン・ダムを知っている映画ファン向けのコメディ(?)映画。ヴァン・ダムがB級映画に沢山出ていることを自虐的に取り上げていたりとなかなかに野心的で、個人的にはツボに入った。

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2010-11-01 10月に観たDVDと映画

まずはDVDで借りた映画から。

劇場公開の頃に草の根的に作品を盛り上げようと奮闘していたことで話題になったアニメ映画「マイマイ新子と千年の魔法」。この作品、丁寧な作りで非常に優れている。ただ、残念なのは対象年齢がタイトルなどのイメージから考えると若干高め、野村の印象では小学校高学年でもまだちょっと難しくて、中学生から高校生くらいじゃないと登場人物の裏の事情とかを飲み込めない部分があるんじゃないかと思った。その年齢層に対しては逆に作風がファンシーすぎる気もあり。作品が良いだけに売り方が難しかったんだなぁ、とか考えてみた。オトナにはもちろんおすすめ。

もはやハリウッドのイチロー状態な安定感でヒットを繰り出すクリント・イーストウッド監督「インビクタス/負けざる者たち」。ラグビーのシーンがすごくかっこいい。ラグビーが好きになる。でも、うーん、ごめんなさい、単にラグビーやっているだけの印象。これ、いい映画なんですかねぇ。

ガイ・リッチー監督「シャーロック・ホームズ」。イケメンのホームズ&ワトソンがドタバタを繰り広げるという構図がとても好き。興行成績は振るわなかったんだっけ?そんなに悪い映画じゃないと思うんだが。ただ、続編があるらしいが多分続編の方が成績悪いと思うよ、だって別に続編観たくないもん。

スウェーデンの映画「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」。ダークなサスペンスで面白かった。主人公のおっさんに華がないがリスベットという女性が活躍するので問題ない(何がだ)。ただ、3部作の残り2部の公開されていたようだが、全然気がつかなかった……。

宮﨑あおい主演の「ソラニン」。青春映画の王道、原作の雰囲気をそのままに映像化されていると思うので、そういうのが好きな方は是非に。逆にいえば原作の青臭さが嫌いな人には徹頭徹尾受け付けられない映画だろう。ま、それは仕方ないよね。

渡辺謙主演「沈まぬ太陽」。半生を描いているので尺も物語も長い。むしろうまく4時間にまとめたなぁ、という印象。会社内や政治家を巻き込んだ抗争がメインなので地味な駆け引きが淡々と続く。こういうジャンル(政治ものとでもいうのでしょうか?)が苦手な方には地味過ぎて耐えられないと思う。

敬虔すぎるキリスト教徒がドンパチするという不謹慎(笑)な映画「処刑人II」。なんつーか、見事なバカ映画だが、やっぱり続編らしく前作のバカさの上に乗っかる前提のバカさ加減。前作のファンに向けて作られた映画といっていいのではなかろうか。

アニメ映画「コララインとボタンの魔女」。かわいいだけの映画と思いきやちょっとホラーな表現もあって、あぁ海外の子供達はこういう刺激が好きなんだな、と勉強になった。劇場公開時は3Dでも上映していたらしい。CG映画なので3Dに変換されても絵としては馴染みやすいだろう。これから海外のCGアニメ作品はどんどん3D化されていくんだろうな。日本はどうだろう。

以上がDVD。10月は劇場でアニメ映画「REDLINE」も観た。豪華声優陣はともかく、徹底したレースものコメディに仕上っていて好感が持てた。内容なんてまるでナシ。でも、酒飲んでいる席でBGVに流れていたら最高な映画(褒めています)。

tags: マンガ・アニメ