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宇多田ヒカル 「First Love」の巻(1999/03/13)

 クロスFMという福岡のFM局があって、そこのWebをお手伝いさせてもらっている。そんな関係からクロスFMの番組はよく聴く。学生寮は電波の入りが非常に悪いのだが、それでもがんばって聴いている(宣伝モード)。
 そのクロスFMで番組を持っている、最も若いアーティストナビゲーター(普通のFM局でいうところのDJかな)が宇多田ヒカルである。そんなわけで僕は、デビューシングル「Automatic」が発売される前から彼女を知っていた。
 不思議なもので、こんな些細な事実が親近感に繋がるのだ(FM局の策略か?畜生、憎いぜ)。あれよあれよと注目される宇多田ヒカルを見るにつけ、「おいらはあの子を知っているぜ」って気分になって、まるであしながおじさんが影ながら成長を見守るというか、なんか変態チックな話題になって、閑話休題。
 ところが記念すべき1stアルバムである「First Love」を、僕は評価しない。宇多田ヒカルは天才である。声(歌唱力)も楽曲のレベルも、16歳という年齢を加味してひいきするが、よい。課題はあるが、年齢が若いのできっと克服できるだろうから、そこまで含めて素晴らしい才能と言えるだろう。不味いのはアレンジ、プロデュースなどの環境面である。
 前々から疑問であったが、宇多田ヒカルをR&Bに分類する利点は何だろうか。彼女はR&Bではない。更にいえばアイドルでもない。同時期に1stアルバムを出した椎名林檎はアイドル並みのプロモーションを行った結果、体を壊したらしいが、宇多田ヒカルの場合、妙な味付けをしようとプロデューサーが躍起になるあまりに、宇多田ヒカル本人の良さをスポイルしてしまっているような気がする。はっきりいって、楽曲のアレンジは最悪。シングルカットされた2曲でファンになった人は、その2曲だけを大事に聴いていて欲しいと願うばかりだ。或いは、アレンジを変えて再発売せよ。
 このまま、間違ったアレンジ陣によっていじくり回されるようならば、宇多田ヒカルはアメリカに戻ってCDを出したほうがいいかもしれない。まだ若いからそれでも何とかなるだろうし(向こうじゃもう若くはないんだろうけどね、もっとすごい人たちがいるから大変だし)。日本でやっていくなら、プロデューサーは変えるべき。東芝EMIを辞めてもいいだろう。「First Love」はそのくらいひどい味付けだ。

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