2010

音楽と書籍のデジタル化はちょっと違う

音楽コンテンツと書籍についてちょっと考えてみた。

音楽については、CDは売れなくなってダウンロード購入が(一応)一般化した。この変化の原因のひとつには、ポータブル再生機器(iPodやケータイ)の普及があると思う。ポータブル再生機器で音楽を楽しむ人にとってみれば、コンテンツは最終的にこれらの再生機器に対応するフォーマットへと「加工」されてしまう。つまりCDという物理メディアはコンテンツ運搬用の単なるコンテナに過ぎない。

もっといえば、CDはそれ単体で音を発することができない。何か再生機器がないと機能しないメディアだ。

一方で書籍は、物理的な紙媒体での販売はすなわちアウトプット自体の販売だ。そこから更にひと手間加えなければコンテンツとして機能しないCDとは違う。

音楽のダウンロード販売は、コンテンツ運搬用のコンテナが変化したものだったのではないか。その着地点は、実はCDとさほど変わっていないのではないか。一方で、書籍の電子化はコンテンツのアウトプット自体を変化させている。まずコンポやポータブル再生機器の提案が始まっている、という段階なのだ。

iPadすげーとかKindleすげーと云われているが、それらが今後どんどん変化していく可能性の方が高いわけで。物理的な形、マン-マシン-インターフェースとして、完成形だと自信を持って云える人の方が少ないんじゃなかろうか。

なので、書籍の電子化と音楽のダウンロード販売は、似ているけれどもまだちょっと違うよなー、と思った。


CDを捨てる決意

久しぶりの日記である。今日は現在進行中の壮大な計画について書く。

中学生のときに初めて買ったTM Networkの「Seven Days War」のシングルCDも含めて、今日まで買ったCDの全てを捨てずに持っていた野村であるが、そのコレクションの大半を処分することにした。

理由は、その体積が生活空間を圧迫しているから。代わりにそれらの音源はデジタル化して保管することにした。音楽の価値は(圧縮時に欠落する情報があるにせよ)それほど下がらないだろうと考えたからだ。ライナーやジャケットを手放すのは忍びないが、棚晒しにされて陽に焼けている時点でどうかとも思うし。

で、毎日十数枚ずつ棚から下ろしてリッピングするという作業を繰り返している。CDの量は以前の半分くらいにはなったろうか。まずはジャケットやライナーが気に入らないもの(廉価版、汚れが酷いなど)や、人気が高すぎてわざわざ自分が所有していなくてもすぐに何らかの手段で再入手可能と考えられるもの(サザンなど)、今や化石といえる8センチCD、後は自分でも何故これを所有しているのか分からないくらい趣味の悪い作品(具体例は……いえない)から始めた。

CDをMacBook Proに差し込んではリッピング……、という機械的な作業の繰り返しは、CDという物質の価値について考えさせられる。次々に積まれていくCDを見ていると、その物質とともに過ごした日々が思い起こされる。だが仕方ない、もうこれ以上CDは棚に入りきらない。そして、CDという物理的なメディアを購入し続ける限り、この廃棄という行為はいずれまた行わねばならないのだから。

問題はこれからの音楽を購入する方法だ。iTunesなどからダウンロード購入するのも良いが、日本では思った以上にDRMフリー版の販売が少ないし、Sony系列はいつまでも頑としてiTunesには配信しないし。結局CDを購入してリッピングしてそのCDを手放すという、かなりエコ(エコノミー、エコロジー)的に無駄な行動をとることになる。こんなに文明が発達しているのに、無駄と分かっていることを強いられるのはどうなんだろう。

ところで、CDを大量にリッピングすると、CDの質によって明らかにリッピングの作業スピードが左右されることが分かる。保存状況にもよるのだろうが、80年代後半のCDは最近のCDと比べてエラー補正していると思われる時間が長く感じる。また、いわゆる激安CD(高速道路のサービスエリアで売られていたりする)もエラーが多いみたいだ。CDにパッケージされた時点で情報はデジタルに変換されているはずなのに。CDの盤面をみて「うん、このCDの焼き具合はいいね!」みたいなことをいう人がいる、っていうのは都市伝説なんだろうと思っていたが、思った以上に深刻な違いがあるようだ。野村も今度からCDをみたら焼き具合を確認してみることにしよう。「うん、これはレアだね」とか。


生きてます

日記が全然書けない……。どうでもいいことは全部Twitterで言い尽くしてしまうからだろう。

日記がライフログにならないというのも皮肉なものだが、だからといってTwitterの内容を日記にコピーするのも芸がない。

時間があれば日記に書こう思っていた話題としては、「映画『宇宙ショーへようこそ』の感想」とか(お仕事させてもらったので実は試写で観ております)、「プロトタイピングを実践したい」とか、「ベランダのトマトが」とかあるんだが。


「はやぶさ」の凱旋

小惑星探査機「はやぶさ」(MUSES-C)は2010年6月13日、22:51に大気圏へ突入した。

野村はニコニコ生放送のオーストラリア中継を観ていた。わずか数フレームの映像ではあったが、リアルタイムで「はやぶさ」の大気圏突入を観ることができたことに、感謝した。

成功なのか、失敗なのか。役に立つのか、立たないのか。地上では様々な意見が「はやぶさ」に対して向けられていた。

だが、「はやぶさ」はその最期の燃え尽きる瞬間まで「はやぶさ」であり続けた、やるべきことを全てやった。それが一番価値があることなんじゃなかろうか。


JapaninoのPOV用エディタ(ちゃちゃっと版)

大人の科学」Vol.27はテクノ工作セットということで、Japaninoという名前のコンピュータ(Arduino互換)と、POVと呼ばれるLEDの残像で字や絵を表示する装置が付属する。これらがどういうものがご存じない方はぜひネットで検索するなり、書店で大人の科学Vol.27を手に取っていただきたい。老若男女問わずファンが急増しているジャンルであるから、すぐにでも面白さが判ってもらえると思う。

で、野村が月一回のペースで参加させてもらっている「プチ合宿」と呼ばれる集まりがある。合宿といっても昼に集まって夜には終わるという集まりなのだが、そこでは参加者は電子工作やプログラムの勉強など、自分の勉強したいことや研究したいことをまとまった時間でやり込んでいる。

普段は各自が自分のテーマを持ち込むのだが、5月のプチ合宿ではJapanino発売を勝手に記念してみんなでJapaninoとPOVを組み立ててみた。キットを説明通りに組み立て終わると、各々プログラムを書き換えて色んな文字や模様をPOVに表示させたり、音を鳴らしたりしてこのキットを堪能した。野村はPOVを光らせるための行列データを作ることができるエディタをFlashで作ってみた。

povEdit

ソースコードはこちら。ご自由に利用してください。

Flash CS4用ソースコード

画面を簡単に説明すると、LEDを模した横19 x 縦7列のグリッド部分をクリックして、点灯/消灯させて絵を描く。データを差し替えながらPOVを点灯させることでアニメーションを実現するのがこのエディタの目的で、ステップという単位のアニメーションフレームを作成することができる。下部の○が現在のステップを表していて、+ボタンを押すとステップが増える。で、右下の三角ボタンでステップを左から右に連続再生(ループ)する(もう一度クリックで停止)。不要なステップは−ボタンで削除できる。

合宿中にちゃちゃっと作ったものなので脇の甘いところがあるかも知れない。そもそも、作り終わってから調べてみたら既に同様のアプリがいくつもあった。まぁ、そこはそれ、何でも「作ってみる」というのがプチ合宿のスタンスであるから問題ない、ということで。