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10cc「I'm not in love」の巻(1999/12/19)

 この曲が収録されたアルバム「Soundtrack」が発売されたのは、僕が生まれた年、1975年だ。シンセサイザーが出始めた頃で、こんな魅力的な曲も作られるようになったわけだ。
 僕は10cc自体が好きということは無かった。ただ、ラジオから流れてくる、シンセなのか多重録音なのか分からないが不思議な厚みのボイス・パッド(声のような音色で、ロングトーンで、和声)が印象的だった。探して、探して、それが10ccの「I'm not in love」だと分かるまではずいぶんとかかった。
 聴かせると、多くの友人が「聴いたことある」と答える。でも、僕らの年代では、これが1975年に作られた曲だとは分からないようだ。当然、10ccというアーティストも知らない。当時は相当インパクトがあったのだろう、ぜひその頃の様子を知りたいものだ。
 真面目に聴けば聴くほど、この曲はすごい。良くできている。ヘッドホンで夜中に聴くとトリップできる。いや、トリップはしなくていいが。とにかく、緻密、繊細かつ大胆、攻撃的な音で作られている作品で、6分もあるがあっという間に感じるだろう。シンセサイザーの使い方もベースラインも斬新で、こういう曲を聴くと、自分もこんな曲を作ってやるんだ、というやる気がムラムラと起こる。未だ、それは成就していない望みであるが。
 20年以上も昔の曲なのに、今年のヒット曲の中にこれを超えるものがあったと言えるだろうか。間違いなく言えるのは、この曲は今世紀を代表する曲だということだ。

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