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菅野よう子・溝口肇「天空のエスカフローネ」の巻(2000/05/10)

 「天空のエスカフローネ」は何年か前にテレビ東京で放映されていたアニメである。アニメの出来はさておいて、今回紹介するのはこのサントラを手掛けた菅野よう子さんである。
 菅野さんはTETSU100%というグループでキーボードを弾いていた。この前ようやく1枚入手することに成功したのだが、まああまり売れたCDではなかったようだ。僕が菅野さんの仕事を(意識して)初めて聴いたのはカラクというユニットのCD(サポートメンバーとしてクレジットされている)だった。カラクも皆さん御存じないと思うのでとっとと先に話を進めて、しばらくして友人から「光栄のゲームのサントラで凄い奴を見つけた」と噂を聴き、友人はそのゲームのサントラとNHKスペシャル「中国」、アニメ「MACROSS PLUS」のサントラを次々に聴かせてくれた。
 その頃の菅野さんは、キーボード系の雑誌などでも人気が出てきていて、インタビューなどが掲載されるようになっていた。菅野さんは「オーケストラの譜面に必要なルールを知らないから、言葉などで補足説明を書いています」と言っていたのが印象的だった。
 さて、エスカフローネであるが、アニメの方はさておいて音楽はオーケストラを中心にしたハリウッド映画並みの迫力である。夫の溝口さんも(当然チェロで)参加しているという本格ぶり、いや本物のオーケストラ曲。綺麗な旋律もあれば荒々しい曲もあり、サントラを通して聴くとオペラの全曲を聴いているような感覚に捕らわれることだおう。
 クラシックに精通する兄に聴いてもらったところ、19世紀後半からの現代作曲家の影響が感じられるというコメントを頂いたのだが、そんなことを言われても残念ながらそれ以上のウンチクが出て来ない。ただ、「所詮はアニメのサントラか」と思う方がいるのならば、それだけは違うと断言できる。90年代の新譜として、ぜひクラシック好きの方にも聴いていただきたい。

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