4月22日土曜日。それは開店した。
アプライド南福岡店である。
それまであったアプライド大橋店は、マンションの1階にあってさながら「町のパソコン屋さん」といった風であったが、引っ越したらば郊外型スーパーのような売り場面積を誇るようになってしまった。
アプライドは東京・秋葉原でも「あぷあぷ」などというスレスレなネーミングの店を出店している。秋葉原のアプライドは他店同様の狭く苦しい売り場面積だが、商品(中古品)の傾向は同じ。特に「オ○ックスレンテック」のシールが貼ってある大量入荷中古やGateway系新古などは福岡と同様。中古パーツを入れてある透明プラスチックや中古パソコンの付属品を入れてある厚紙の箱、果ては店内に流れるテーマソングまでが一緒と来れば、福岡人ならば涙を流すこと請け合い。閑話休題。
そんなわけで最近は元気のいいアプライドが図に乗って建てた南福岡店は、開店3日間を大売り出しとし、最新よりちょっと古めなプリンタやスキャナ、デジカメ、本体などを日替わり限定10台とかで出してしまおうと考えた。これには福岡中のオタクたちが目の色を変えたわけだ。
某女子短大前に建った南福岡店であるが、これは同時に我が芸工大より歩いて10分の距離を意味している。貧乏丸出しの大学生は、こういうお祭り特価に弱いから、4月20日の時点で浮き足だった。既に店の前に2人ほど陣取っているという噂が流れ、いつ並ぶ、誰が並ぶ、寝袋はどうする、といった具合に話が広まっていったのだ。
それでもって迎えたのが4月22日。
店の前には1000人もの人が、まるで配給を待つようにひしめきあい、整理券が配られたらしい。賢くて体力のない私は、朝っぱらから行列に紛れる気はなかったので、のんびりと午後から行った。
駐車場は既に満杯。駐車待ちの車が列を作ってお祭りのようになっている。2日目以降の特売品狙いの人が屋根付き駐車場の脇に、住所不定無職の方がよくなさるような段ボールハウスを建築していた。そう、まだ4月。夜は寒い。
店の中はまさにイモ洗い。とにかく一度商品の前で立ち止まったら、移動する気が起きなくなるから怖い。レジの前は長蛇の列で買う気も起きないからもっと怖い。結局、何も買わずに帰ってきてしまった。
翌日、寮生の友人が980円プリンタを手に帰ってきた。そう、彼はあの段ボールの列の中にいたのだ。「風邪を惹くかと思った」と感想を述べてくれた彼は、プリンタケーブルを買う元気もなくなっていたようだ。