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第19回「電脳鷲羽505」(1999/09/19)

 半ばヤケクソだった。ノートパソコンが無いというだけのことなのに、現に何の苦労も無く生活できていたのに、自分の生活にはノートパソコンが必須であり、買い直すのなら無論スペックダウンは考えられない、という理論を打ち立ててしまったのだからショウガナイ。
 中古のノートパソコン、MMX133MHzより上。そして何より重大な条件は重量1.3kg級であること。予算10万円より。
 重量制限を打ち立てたのは僕のカノジョ様であった。そのお方が言うには、「あのちっこいの(NC313Dのこと)は軽くて良かった。あんなのがいい」。現在、475NL(重量1.7kg)をリュックに入れて持ち運ぶ彼女にとって、軽さは何にも勝るノートパソコンのスペックらしい。
 福岡市内では前回の話題に上ったアプライドくらいしか中古を扱うショップが無い。8月中旬に寄ってみたところ、IBM ThinkPad535Eがあった。大学に戻ってネットで調べてみたらば1.7kg。横から首を出して、「重いね、ダメダメ」と言ったので、ならば475NL/Sはどうなるんだ、僕の青春のマシン、飛行機にだって一緒に乗り降りしたんだぞ、と言おうと思ったら、どうやら475NL/Sの重量を知らなかったらしい。閑話休題。
 今回は、インターネット通販に挑戦することにした。中古市場が確立されているのかが心配だったが、Yahoo! Japanによると30件近くあるらしい。しらみつぶしに開いてみる。

 いけない。こんなことではいけない。がんばれ、中古。
 はっきりいって、Yahoo! Japanでは限界がある。たくさん出てくるが「アタリ」の店が少ない。何ヶ月も前に更新された中古値段表を見せられて、挙句注意書きに「売り切れの場合があります、お早めに」などと書いてあるのだから、これを開店休業と言わずして何と言おう。

 何日かネットをさ迷ううちに、リンク集に突き当たった。Yahoo! Japanよりは使える。この中で、多くの雑誌にも取り上げられているOTTOが品揃えが良く、更新が早くて気に入った。
 時期を置いていくつもの雑誌に取り上げられているような店は、まず安全である。中古市場と犯罪が隣り合わせな上に、通販と犯罪も隣り合わせなのだから、店のステータスは金を出してでも買いたいところだ(限度はあるが)。なにより、有名になると、「売り」の人が増える。「買い」の人はそれこそたくさんの店をしらみつぶしに回れるが、「売り」の人はそうはいかない。地方に住んでいて、郵送して買いとってもらったりする場合、自然と大きな店、有名な店に流れてしまう。また、そういう店の方が買取が高い。買取が高いからいいものが集まる。必然、すぐに売れる。この循環は中古サイクルとでも言えようか。
 そう、いいものは足が早い。最初に見つけたのはNC313Dの後継、NC723、MC30である。早速電話で在庫を問い合わせる。
「申し訳ございません、そちらの商品は売り切れております」
中古は一品限りが原則なので、これはショウガナイ。更新日を見てみると3日前であった。これではいけない。今度は更新日当日に電話をしなくては。
「申し訳ございません、そちらの商品は店頭で売れてしまいました」
またしてもNC723に挑戦したのだが、敗北。通販は片手間で、お店の方に力が入ってしまうのも商売の内だ。顔を見て決める強み、現物と現金の強み。

 だが、いつまでもスカを引く訳にも行くまい。ホームページの更新を自動チェックしてくれるソフトを動員して、24時間体制で中古のページを見張ることにした(実際には、この時期、24時間体制でしなくてはならない作業があったからなのだが……)。
 そしてついに、注文を取りつけることに成功したのだ。時に9月12日。その商品とはSONY PCG-505GX。VAIOである。

 9月17日。現物が学生寮に届く。熊本の祖父母宅より帰宅して、部屋を大掃除を始めていた頃だった。

 という訳で、この原稿をさっそく505GXで書いている。故障したNC313Dには愛称を決めてあげていなかった、という反省のもとにコイツを仮に「電脳鷲羽505」と命名する。「電脳鷲羽壁紙」も貼ったし、まだ裏蓋も開けていない。今度こそ、長生きして欲しいのだ。
 CPUはMMX266MHz。つまり、現在の野村所有マシンの中で最高速を誇る。何か空しいが、ショウガナイ。メモリは64MB。不満。ハードディスクは2.1GB。十分に事足りる容量なので、壊れない限り乗せ換えたりはしないだろう。TFTの表示能力は800x600で、今まで持っていたノートパソコンより広い。広いけど、まあ、今までの大きさでも不自由なかったからなー。重量は1.3kg。B5薄型って奴ですな。日本中を驚愕させたバイオカラーのボディは、……見慣れてみてもかっこいい。憧れのバイオだもんな。まさか自分のものになろうとは夢にも思わなかった。
 おおむね満足である505GXだが、二点だけ大きく不満がある。まずはポインティングデバイス。僕はタッチパッドが大嫌いだ。動かしている実感に乏しいし、タッピングと「ちょっとずらし」の判定がルーズ過ぎる(タッピングはOFFにしてしまいましたよ、もう)。こうやって文章を打っているときに、タッチパッドが邪魔な位置にあって、触ってしまう。邪魔。動くな。てゆーか、むしろ、Panasonic 旧Let's Noteシリーズのトラックボールがいいってかんじー。
 あと一つは、キーボード。タッチの感触はNC313Dに近いが、時々軋む音がする。まあ、音はまだ我慢できるのだが、配列は我慢できない。「Fn」(ファンクションキー、ノートパソコンの場合キーの数を少なくするために一部のキーを共用にしてしまうので、こういうキーが組み合わせ用に必要)と「S」でサスペンドになるのだが、「Fn」と左の「Ctrl」は近い。このため「Ctrl」+「S」の「保存」というショートカットを押し損じて、サスペンドになってしまうことがしばしばある。OSが不安定になって、緊急避難的に「保存」しようとしたら、更に危険なサスペンド処理に移行……、洒落にならない。「Fn」+「S」でサスペンドっていうのは余計なキーだ。
 あ、あと、さっきから打ちづらいなーと思ったら、右の「Shift」が小さすぎるからだ。
 何より困っているのは日本語キーボードであることだ。日本語キーボードは狭い。やっぱり英語キーボードがいい。SONYに言ったら取り替えてくれたりしないのかなぁ。英語キーボードに。

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