戻る DOS/V日記
0
前へ

第31回「あの男へのメール」(2000/02/01)

 がネットに繋がった。どういう心境の変化だろうか。はたまた焦りだろうか。まあ、原因は多分、僕が送った壊れたノートパソコン(修理済み)にモデムが付いていたから、ちょうどいいや始めちまおうってところだろう。
 メールアドレスを取得し、電話で連絡をよこしてきた。今からいうアドレスにメールを投げて欲しい、という連絡だ。ちょうど、バイト先にいて徹夜作業に入っていたせいで頭が少しとろけていた僕は、「そんなことはメールで知らせてくれればいいのに」とか思ってしまった。メールアドレスを説明されてメールを投げるという行為が奇妙に思えて仕方がない。ネットに繋がっていないことをいいことに、自分の家族のメールアドレスを知ろうともしなかった野村家にも問題があるのではないか、ともちょっと思った。
 仕事場から、言われたとおりのメールアドレスにメールを送ってみることにする。メールアドレスの選び方は誰もが悩むものであろう。「nomura」のようなベタな苗字はまず取得できないので、兄は名前の方をもじった感じのアドレスにしたようだ。センスはないが、僕の「mnomura」よりははるかにマシなセンスだった。ちょっと悔しい。
 メーラーは何か?と聞くと、「野暮なことは聞くな、メーラーなんぞどれがいいかなんか分からないよ、Outlook Expressだよ」と答えた。恐るべし無料ソフトめ。まあ、彼にウィルスを送る人はいないだろうからしばらくは安心だが、夏までにはもっとシステム的に安全なメーラーへの移行を勧めることにしよう。
 しかし、家の人間に改めてメールを書くという行為は気恥ずかしい。しかも今回は特に連絡したいことがあってのメールではない。だが、「テストです」なんて味気ないメールをしょっぱなにもらっても、あまり嬉しくないだろう。それなりに読み応えがあって、それでいて気恥ずかしくないメール。

テスト送信です。


政行です。
今、バイト先からメールを書いております。
専用線に接続されているので、らくちんです。

月曜にパスポートが出来上がるので、
かあちゃんに会う頃には国際人になっているはずです。

あー。
長い文章は自分の都合のいいところで改行をいれるとよいでしょう。
半角72文字が昔は基本やった。
今はいろんな人がメール書くようになったから、そんなこともない。
でも、タイトル(Subject)のところに1000文字以上書くと、
そのメールをもらった人のOutlookが落ちるので気をつけよう。

じゃあ。返信待つ。

(注)一部のメーラーはある字数以上のサブジェクトを持つメールを受け取ると落ちることがあるが、それが何文字だったのか、正確なところは思い出せない。上記の数字は適当。

 よそよそしくなく、それでいて深く家庭事情にのめり込むこともない、いい文章だ。合格点は出せるだろう。
 ちなみに、文中に「かあちゃん」が登場しているが、このメール事件から2日後、博多で会う約束があったからこのような文面になっている。母は次の日に僕へ電話をかけてきて、博多でおちあう詳しい段取りを決めた。そのときにはメールは使われなかった。ならば一体いつ使われるのだろうか、とか奇妙な謎に包まれたのは、僕が疲れていたからなのか。

次へ

(C)Copyright Nomura Masayuki all rights reserved.